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マイカーはモバイル基地 バッテリーの充電方法に工夫が必要
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まずはDC-ACインバータを設置しよう
ノートPC、デジカメ、ビデオカメラ、DATレコーダーなどなど家電機器をモバイルで利用するには、バッテリーの充電装置が必要です。しかし各機種に付属してくる充電器の大半はAC100V用のものです。これでは車では使用できません。車のバッテリーを利用してAC100Vを供給してくれるDC-ACインバータを利用すれば、手軽にAC100Vを利用することができます。DC-ACインバータはオートバックスなどのカーショップや日曜大工を扱っているDIYショップなどで入手できます。価格は1万円〜3万円と開きがあるのですが、それには実は訳があります。購入時には、必ず定格電力と最大電力の数値を確認してください。値が小さすぎても、大きすぎても使い勝手は、よくありません。100W〜150Wが最も使いやすいのです。特に200Wを越えるタイプは極力使用しないでください。150W以下だと電源をシガープラグから取れますが、200W以上だとバッテリーから直接ケーブルを引き込まねばならないのと、バッテリーへの負荷が大きすぎて危険です。
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DC-ACインバータにはサイン波、擬似サイン波、パルス波の3種類がある
DC-ACインバータにはAC100Vの波形により、扱える充電池にも実は制限がついてしまいます。
波形の種類 | サイン波 | 擬似サイン波 | パルス波 |
ニッカド | ○ | △ | X |
ニッケル水素 | ○ | △ | X |
リチュウムイオン | ○ | ○ | ○ |
ノートPC | ○ | ○ | ○ |
ビデオ・TV | ○ | ○ | △ |
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上のサイン波150Wインバータの購入価格は2万円ちょっとしましたが、周波数も60Hzと関西地区のAC100Vと同じですから安心です。下のパルス波130Wインバータは、もうかれこれ、6年間ほど使用していますが、全くノントラブルです。ノートPCやビデオカメラなどリチュウムイオン充電池ならば問題なく使用可能です。ただしデジカメの充電池として主流のニッカドやニッケル水素には非対応なのが残念です。フルチャージはできないことが多いですね。またビデオ映像をチェックするためのTVモニターなどは、若干音声にパルスノイズが混ざることもありますので△としていますが、実用的には十分使えています。擬似サイン波でのニッカドやニッケル水素の充電は機種により可能のものもあるようですので、メーカーに問い合わせて動作確認されるとよいでしょう。
カタログスペックの半分が使える総電力
インバータのカタログスペックに記載されている電力容量全てが使えるとは思ってはいけません。これはあくまで一瞬だけ使用できますよ、という意味なのです。目安はカタログに掲載されている電力の半分までと理解してください。オーディオアンプの出力と同じで、フルパワーでインバータを使用していると、熱でトランジスタの性能が劣化して故障や性能の低下をもたらしてしまいます。ですから60W以下のインバータの選択はあまり得策ではありません。理由はノートPCを使用しながら、複数の電池を充電する能力がないからです。
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エンジンをかける前にインバータのスイッチを絶対に入れてはいけません
車のメインバッテリーからDC-ACインバータの電源を取っている場合(シガープラグ含む)には、必ずエンジンを始動してから、インバータの電源を入れてください。先にインバータの電源を入れ、エンジンをかけると突入電流により、インバータのトランジスタが破壊され故障してしまう可能性があります。インバータの電源スイッチはONにしておき、エンジンを切ったら、シガープラグ自体を抜き、インバータの電源を切るのが安全です。
□携帯電話の充電も同じですよ エンジンを始動させてからおこなうこと!!
シガープラグを電源とする、携帯電話用充電器を使用する場合も、エンジンを始動させてから、携帯を充電装置に接続してください。インバータと同様な理由で携帯電話の電池に内蔵されている、ヒューズが飛んでしまうことがあります。実は私もやってしまい、ロケ先で携帯が使えなくなったことがあります。この場合、自分では修理できません。また修理費も案外かかってしまいます。
理想はサブバッテリー経由でインバータを作動させるとよい
「山と自然の旅」のロケ・取材は、ここに紹介しているシステムを使用してきています。ここまでくるのに、もう10年近く試行錯誤してきたわけですが、結局のところ有毒ガスの発生しない、シールドタイプのサブバッテリーを導入することが一番安全だと思います。今回ご紹介しているシステムはキャンピングカーを使用していますので、一般的ではないかもしれませんが、サブバッテリーはトランクにも常設可能ですからモバイルで使用する機器はサブバッテリーを通して、DC-ACインバータを接続し、運用されるのが一番安全ですし、また可能です。サブバッテリーへの充電はメインバッテリーから保護装置を介して、おこなっています。サブバッテリーを使用すると、サブバッテリー自体がコンデンサーの役目をしてくれるので、エンジンの始動に関係なく、いつでもインバータを使用できます。ロケに出かけるとノートPCの電源を切ることは帰社するまではありません。24時間つねに電源はONです。サブバッテリーの容量も大きいものを使用していますのでこのようなことが可能なわけです。サブバッテリーの情報や入手は月刊誌「オートキャンパー」の広告などに掲載されていますので参考にしてみてください。キャンピングカーの販売店でも取り付け工事もおこなってくれますので、ご自分で取り付けるのが面倒な方は相談されるとよいでしょう。
ダッシュボードにノートPCを設置する場合、熱への注意が必要です
ダッシュボードにノートPCを設置する場合の、最大の注意点は「熱」です。いくらエアコンをつけていても、直射日光による「熱」の対策にはまるでなりません。真夏のダッシュボードに設置されたノートPCの温度は40度以上、ひどいと50度以上にもなり、動作も不安定となります。できる限り発熱の少ないノートPCを選択することも、実は重要な要素です。いままで熱対策もせずに、まともに動作してくれたノートPCはリブレット20しかありません。同じリブレットの100では、真夏の直射日光下では、数時間動作させると、熱だれして性能が低下、Windowsの動作も極端に遅くなってしまいます。その場合はダッシュボードからはずして、エアコンの噴出し口にノートPCの底面をあて、強制的に冷やします。これはとても効果があり、即座に正常動作にもどってくれます。モバイルではCPUの速度よりも、熱に強いパソコンを選択することがポイントなのです。
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車内LANは便利だ USBハブポートはぜひとも装備したい
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ロケ先でも、車内で編集作業やインターネット、メール通信はおこなうので、後部に専用のノートPCを確保、これをデータサーバーとしても利用しています。前部フロントダッシュボードに固定したノートPCとは
前部ノートPC<->USBハブポート<->USBto10Base変換アダプター<->LANケーブル<->10BASEハブポート<->USBto10Base変換アダプター<->USBハブポート<->後部ノートPC
という方法で、お互いにデータの保存や閲覧ができるようにしています。
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デジカメで撮影したデータは、後部のノートPCサーバーに保存していますが、いちいち後部席に移動しなくても、全てのデータはフロントのノートPCで操作できるのです。ハンディGPSのデータ採取は『Map Brothers』を使用しておこなっていて、それらの採取したデータも、後部ノートPCサーバーにバックアップ保存を即座におこなえるようにしています。またフロントにもUSBハブポートを装着していますので、フロントのノートPCでもデジカメのデータなどUSB機器を接続できるようにしてあります。つまりフロント、リア、どちらからも同一の操作が可能になるようにしているわけです。なにしろロケは、データの採取が仕事ですから、ノートPCがハングしたからデータが消失したということは絶対に許されないのです。バックアップは最も重要な項目です。
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車において様々な機器を固定させるには、2つの方法を用います。
●常時固定の機器は、両面接着テープで固定させる
車側の固定する面の材質に応じて、両面接着テープの材質も吟味してください。ABS樹脂に対応しているものとか..。
●着脱する機器は、マジックテープで固定させる
マジックテープにも、「強力」タイプと「普通」タイプの2種類がありますので、目的に応じて使い分けましょう。注意することは「強力」タイプは、基本的には、はがさないことを前提としていますので、固定したままにする場合を除いて、着脱用には使用しないほうが賢明です。両面接着テープ面から、はがれてしまうことが多いのです。
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写真は単純な10BASEハブポートですが、最近はスイッチングハブも安価になっていますので、できる限りスイッチングハブポートを使用されたほうがよいと思います。ハブポートの電源は、DC-ACインバータ経由のAC100Vからとっています。
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実際ロケ現場においては、充電器を複数使用しないと電池は足りません。デジカメ用ニッケル水素電池の充電をする場合には4本用急速タイプの充電器を2台設置しています。写真の充電器は、数回程度ならばアルカリ乾電池も充電できるので、非常時には重宝しています。
この充電器はサイン波インバータから取り出したAC100V電源を使用して動作させています。
ビデオカメラやDATデンスケ用のリチュウムイオン電池の充電は、機器に付属の専用チャージャーをこれまた複数使用しています。ビデオカメラの場合、インバータの負荷を下げるために、パルス波インバータから得たAC100V電源とメーカー純正、12Vカーバッテリー用充電器の2種類を使い分けています。いずれにしても、車のバッテリーから直接12Vをとることはせずに、サブバッテリー経由にてDC12Vを得ています。サブバッテリーを使用せず、車のメインバッテリーだけで運用する場合には、できる限りエンジンをかけている、走行状態時にて充電してください。エンジンを停止させてのインバータの使用は、バッテリー上がりを発生させてしまうかもしれません。
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モバイルでメールの送受信をおこなうには、iモード携帯にアダプターケーブルと通信カードを介してノートPCに接続して使用しています。iモード携帯であれば、全国どこでも、ほぼ使用できるからです。しかし画像の送受信を伴ったり、インターネットの閲覧をする場合にはiモード携帯では通信速度が遅すぎて実用的とはいえません。その場合、山間部であれば、スキー場に向かいます。スキー場だとPHSの圏内である場合が多く、32Kbpsでの通信が可能となります。経験的にはドコモよりはDDIポケットのほうが地方では使える範囲は広いですね。それから、いままでは1分間10円の通信費がかかっていましたので、8月末から始まったPHSによる常時接続サービスのAirH"にさっそく加入してみました。これで接続時間を気にせずに、「山旅倶楽部」へのアクセスを含めて、お気軽にモバイル・インターネットができるようになりました。
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GARMIN GPSをダッシュボードに装着して車載で利用する
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「山と自然の旅」CD-ROMに収録してあるデータベースの位置情報の大半は、実際にGPSを使用して採取したものです。そのためにGARMINハンディGPSを使用しています。サブではカロッツェリアのカーナビで採取したデータも、カーナビに装着したPCMCIA+CFメモリーカードに記録しています(万が一の保険ですね)。GARMIN・GPSは専用RS232C通信ケーブルを経由してノートPCに接続しています。ロケデータの大半は車から降りずに採取できるものですから、基本的にデータの採取は『Map Brothers』上(もちろんカシミールでOKですよ)でトラックログやウエイポイントを登録、保存しています。理由は採取するデータ量の制限が全く無いからです。ハードディスクの限界まで連続して採取しつづけることが可能ですから。GARMIN本体内のメモリーは、登山など車から降りての取材に利用しています。この場合も車に戻ったら、現在開いている『Map Brothers』(もちろんカシミールでOKですよ)上のGDBデータに重ねて、GARMINのデータをダウンロード、保存します。これでその日の行動のつじつまが合致するわけですね。
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車載での使用がメインでしたら、GARMIN GPS2+、あるいは3+をお薦めします。理由はダッシュボードにマウントしやすいからです。専用マウントも市販されていますが、着脱しやすいように、マジックテープを利用して固定しています。その場合、運転時にもGPSの情報を見やすくするために、ゴムのラバー板を使用してGPS本体をオフセットさせて見やすい位置となるように調整しています。(写真奥がゴムラバー板)
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GARMIN本体とノートPCとの接続には、GARMIN専用RS232Cケーブルを使用します。GPS3+の場合には、ケーブルも付属していますが、ケーブルの長さの調節はできません。もしも美しく配線したいならば、ご自分でケーブルを短く加工するか、あるいは自作ができない方は、ライトスタッフ社さんのケーブルを利用するとよいでしょう。ライトスタッフ社さんは、オリジナルケーブルも受け付けていて、ケーブルの長さを指定することができます。
ライトスタッフ社ホームページ
http://www.soaring.co.jp/
ライトスタッフ社の製品の中には、GARMIN本体に車のシガープラグから電源を供給できるGARMIN用通信ケーブルも販売されています。私はライトスタッフ社に、通信ケーブルの長さ、電源ケーブルの長さを指定して製作してもらいました。おかげで車にジャストフィットした配線ができました。
カーナビとハンディGPSとの併用には、注意が必要です
カーナビのノイズは、とんでもなくひどくて、ハンディGPSの受信部がノイズでブロックされ、まともに動作しなくなる場合があります。こういうケースの解決策ですが、ハンディGPSやカーナビの設置場所を調節するしかないのが実状です。アースをとったり、電源ケーブルにノイズフィルタを入れたりもしましたが、どれも効果はなかったです。参考まで。
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USBポートしかないノートPCでRS232C通信をおこなうには
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最近のサブノートPCは、コンパクトで、かつ、薄型のものが多く、レガシーデバイスであるRS232C端子の無いものが主流となっています。しかしGARMIN・GPSはRS232C経由でのデータ通信ですから、何等かの工夫をしてサブノートPCにRS232C端子を追加してあげなくてはなりません。
RS232C to USBコンバータは使用しないほうが賢明
USB周辺機器にRS232C信号をUSB信号に変換するコンバータも市販されていますが、できる限り使用することは避けましょう。ノートPCのUSBコントローラーチップによっては、正常に動作しないことも多数ありますし、USBハブポートを経由すると、通信できない、comポートが1,2にできないものもあるなど、一発でまともに動作する可能性は極めて低いです。私は2機種購入テストしてみましたが、手持ちの全てのノートPCで失敗しています。一見動作しているように見えても、実はバグがあり、途中で通信できなくなるなど、まともに動作したことはありません。つまりUSBは動作する可能性もありますが、リスクもかなりあるということです。PCや周辺機器、ドライバーの知識などのスキルはある程度必要となるでしょう。私の経験からは、RS232C端子をPCMCIAカードで実現できるラトックシステムズ社REX-5056Vカードの使用をお薦めします。確かにUSB変換コンバータよりは、価格は高価ですけど、信頼性は抜群ですし、汎用性もあります。ドライバーもOSが標準でサポートしていますので、インストールする必要もなく、初回にカードを差し込めば自動的にRS232Cと認識してくれますので楽ですよ。またWindowsだけでなく、このカードはWinCEマシン(HP Jornada710で動作確認)でも問題なく使えるのも良いですね。仕事上では確実に動作することが一番重要ですから、USBを完全に否定するものではありませんが、あえてリスクをおってまでUSBを使用するメリットは感じられないということです。USBポートはデジカメとの接続などに使用されたほうが賢明でしょう。
ラトックシステムズ社ホームページ
http://www.ratocsystems.com/products/subpage/5056v.html
CFタイプRS232Cカード Socket SL2703-138
詳細はモバキャンのお気に入りで紹介しています
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