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櫛形山へそろそろ北アルプスも紅葉のピークを迎えるし、南アルプスだって稜線はもう・・と、思いはあっちこっちへ飛んでいる。ただし目の前には富士山がある。だから、どうしてもそれに後ろ髪を引かれてしまうのだなあ。先日は櫛形山(山梨県)へ出かけた。櫛形山には富士山撮影ファンには有名な二つのポイントがある、ひとつは増穂町と早川町奈良田を結ぶ丸山林道で、もうひとつは、そこから分岐している櫛形林道である。この日はまず櫛形林道へ、もうそろそろ空が明るくなってくる時間で、まあ真面目な富士山写真家なら遅刻の時間だ。もちろんもう先客は来ている。ここは街の明かりが見えてそれを富士山と組み合わせられるというところがナイスなとこなんだけど、ちょっと雲が高くて富士山は頭だけしか見えない。空はどんどん明るくなっていて見事な朝焼けも始まったが、あの雲の向こうがいいのにという隔靴掻痒状態。しまったあ、丸山林道まで上っておけばよかったねと思うも後の祭り。 その後丸山林道を登っていく途中でワゴンに乗ったカメラマンとすれ違って「今日はよかったねえ」と声をかけられ「そうですねえ」と生返事したが、ちくしょう自分も登っておけばとちっとばかし悔しかった。 |
![]() 丸山林道の富士見地点から、朝の光がまぶしい ![]() 彩雲―思いがけないプレゼント |
朝の撮影はひとまず完了。でも折角ここまできたのだからと櫛形山に登ることにする。櫛形山にはこの辺りの林道のあちこちから登山ルートが延びている。山頂までの距離が一番短いのが、丸山林道から分岐する池の茶屋林道の終点からのルートで一時間もかからない。この林道からは白峰三山(南アルプス)もまた見事だ。 櫛形山はアヤメの山として有名で、花期の7月には多くの登山者、観光客でにぎわうが、今はシーズンオフでひっそりとしている。駐車場には先客が一台。こういう雰囲気もまた良いものだ。 登山道の両側にはトリカブトが目立つ。マツムシソウもまだ少し残っている。しかしもう全体としては・・・すっかり秋だ。下を見ればあちらこちらにキノコが出ているのに気がつく。知識が無いので捕らないけれど、きっとほとんどは食用になるはずだ。秋は恵みの季節。リスが目の前の樹を駆け登っていった。 裸山まで足を伸ばした帰り、山頂で一休み。定年を過ぎ悠々自適と思われる老夫婦が休憩中だった。四国からでてきてこの付近の山を次々歩いており、前の日には茅ヶ岳、明日は鳳凰へ向かうそうだ。少し話してから、お気を付けてと声を掛け合って別れた。この日の山歩きで出会ったのは、この御夫婦含め数人で、とても静かな山歩きだった。 |
![]() ![]() 小さな、小さな、実りの秋 |
富嶽仙人
昭和38年生まれ
富士宮市在住
信州大学在学中に山と自然と写真に目覚める。
富士宮市に移住後も富士山を主たる対象として写真活動を継続中。