仙人力光線

富嶽仙人
01/04/26 22:34 1年間ありがとうございました

田貫湖Wダイヤ

 毎年4月20日から一週間ほど富士宮市の北部にある田貫湖が、日の出の時間に大賑わいになる


 ちょうどこの頃富士山頂から日が昇るのだ。山頂に輝く太陽と、それを映す湖面。これを称してWダイヤモンド富士という。


 期間が一週間ほどというのは、太陽がどんぴしゃ真中から昇るように見える位置が湖の北から南まで移動していき、湖畔のどこかで撮れる期間がおよそ1週間・・正確にいうと5日間ほどだが・・・という意味である。ドンピシャというのはまさにピンポイントであって、50mも移動すれば太陽と山頂との位置関係はずれてしまう

 また、この頃は天気が安定しない時期であり、富士山が見える日は限られる、そんな希少価値も手伝って、この時期の田貫湖には人がわんさか訪れるのである。

 これが一度で何枚も撮れるのならば、構図やある程度の画面処理の工夫をして、カメラマンそれぞれが個性を発揮する余地もあるのだろうが、シャッターチャンスに時間的余裕はない。だから、せいぜいレンズに息を吹きかけて曇らせ虹色の輪を付けるくらいのもので、たいていはオーソドックスに捉えるのが精一杯だ。
 
 私がこれまで見たことがある写真も、同じ場所で撮ったものは、限りなくソックリというものがほとんどだった。おそらく自分のフイルムが隣で撮った人のものと入れ替わってしまっても気がつかない程度の違いなのではないだろうか。
 
 だとすれば、最適なポイントにバイテン(8×10インチサイズの大判カメラ)から35mmまで数台のカメラを共有機材として並べて、あとでデュープでもして皆で分ければいいではないかと思のだが、もちろんそれでは満足いかないのであろう。


 で、その程度の写真を撮るために、遠くから訪れ、しかも数日前から場所取りまでしている人がいるらしい。夜明け前に現場につけばいいという心がけでは、既に駐車場も路肩も満員御礼で、撮影場所からはるか遠くに車を停めて歩かなければならないことになる・・・これも「らしい」と書くのが実は正しく、僕はその実際を経験したことはない。


 出かけてみたくないわけではない。でも僕ならば、Wダイヤを狙う人々にレンズを向けるだろう。そのほうが絶対面白い。できれば場所取りを始める人々の様子人間模様、その日の状況による悲喜こもごもを取材してみたい。これは毎朝出勤前に取材しようと思えばできない話ではないところが困るのだが(笑)


 そんなことを考えていたら、「富士山カメラマンウォッチング」とか、「富士山カメラマン列伝」とか、そんな取材も面白いかもしれないと思い始めてきた。
 
 何が面白いって人間ほど面白いものは無い。くだらないことに情熱を傾ける人間という不思議な動物の生態。これを突き詰めていくことで「人間とは、人生とはなんなのだ」という大きな命題の答えが見つかる・・・わけないか


仙人力光線連載終了のお知らせ

 さてさて、森総理の退陣とはまるで関係は無く、1年間連載してきた仙人力光線は、今回をもって最終回となる。

 最近はあまり遠出をしなくなってしまい、近所徘徊ばかりで変化のない連載となってしまったことが心苦しい。もうすこし面白おかしく書いたほうがよかったかしらと思ったり、一回一回文体も文章の量も大幅に違って統一性の無さに自分で呆れたり、反省しきりの1年であった。
 
 ご存知だとは思うが、僕はHPを持っている。そのHPでは写真を日替わりで掲載している。日替わりだから、1年で365枚の写真が必要となる。これに加えて1週間毎に替える写真が2枚あり、さらにカレンダー用の写真が毎月2枚加わり、単純に合計すると年間493枚の写真が必要なのだ。正直に言えば、前年の使いまわしも結構あるのだが、デジカメを使うようになってからは、出来るだけ旬の写真を心掛けている。意味もなく+似たような構図やテーマの写真が連続してしまうのは避けたいし、あまりに出来の悪いものを出すのも問題がある。撮影からセレクトまで結構骨の折れる作業なのだ。

 この日替わりの写真の掲載と仙人力光線が、僕の日々写真を撮り続けようという意欲の源であった。 たまには天気の良い休みの日の朝、のんびりと家で過ごしてみたいと思うし、写真機材などという無粋な荷物を持たずにブラブラと野山を歩いてみたいとも思う。それでもカメラを担いだ山歩きがやめられない悲しさ。でもこの悲しい山歩きをまだ暫くは続けたいと思っている。仙人力光線はこれで最終回になるが、これと似たコンテンツは、また僕のHPのほうで継続するつもりだ。暫くお休み中だった(そうアナウンスしていたわけではないけれど)「山の記憶」というコーナーをを復活させようと思っている。興味のある方はHPほうにもぜひお出でいただきたい

1年間ありがとう。またどこかでお会いいたしましょう。



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