仙人力光線

富嶽仙人
01/03/26 22:11 春へ・・・篠井山

 起きたらもう外は明るかった。


 6時半、普通の生活では早起きと呼べる時間なのかもしれないけれど、自然写真家が朝の仕事をするには、すでに遅すぎる。そう、早い話が寝坊したのだ。


 はて、どうしよう。
 いまさらジタバタしても仕方が無いので、近所の山に登ることにした。
 手軽に登れる篠井山。
 


福士川渓谷






林道脇にはフサザクラが咲きかけていた




 山梨県富沢町、福士川渓谷の上流、町営の温泉施設からさらに林道を上がったところに登山口がある。数台おける駐車スペースには、まだ車は一台も無い。
 


篠井山登山口 ここから山頂までは約3.5km 一時間少々の道のり




 道は十分整備されている。登山道入り口からは山頂までは3kmとちょっと、しかも100m毎に山頂までの距離を示した標識が立っているので、あとどのくらいかが常にわかるという至れり尽せり。


 林道のどんづまりに、まだ幼いカモシカの屍骸を発見。鳥が突付いたのか、周りに毛が散乱しているもののまだ傷みは少なく、目も見開かれたそのままだ。場所が場所だけになにやら人の関与の匂いもする。猟の巻き添えを食ったのかもしれない。しばし合掌。
 


春先の死・・・カモシカの屍




 さて、ここからは登山道になる。途中までは沢を詰めていき、あとは九十九折で標高を上げていく。道標が残り1kmを示すあたりから登山道に雪が目立ち始める。雪といってもなんども解けては凍ってを繰り返しているため、ほぼ氷と化し、とても上を歩けるものではない。持参のアイゼンを装着。それでも斜面のトラバースなどちょっとおっかなびっくりで通り過ぎる。



頂上直下―白い世界から着々と春の色へ




 山頂直下は一面雪に覆われてはいるものの、木の周りにはまあるく土が覗く。冬は確かに終わりを告げ、春の香りがどこからか漂ってくるようだ。振り返ると木々の間から十枚山が見えた。そちらはまだまだ真っ白で、冬将軍が最後の踏ん張りを見せている。しかしこれも一日一日春の装いに変わっていくに違いない。


山頂からの展望はさらに春っぽく、山麓の風景も、その向こうの富士山も淡く霞んでいた。



頂上から・・・霞む富士山を眺める





目次に戻る