仙人力光線

富嶽仙人
00/06/11 00:57 春がやってきた

富士山に雪が一番積もるのはいつ頃だろうか。
もっとも寒い2月かと思われがちだが、実際には3月から4月にかけて。
冬型の気圧配置では富士山には雪が降りにくく、好天が続く。
しかも、降ったとしても、
さらさらの雪は冬富士の名物の強風によって吹き飛ばされてしまう。

春の日差しが感じられる3月、比較的湿った雪はしっかりと山肌につき、
まるでデコレーションケーキのように真っ白に富士山を覆うのだ。



3月、しっかりと雪がついた表富士。 富士山スカイライン西臼塚2000.3.25

 富士山麓の雪の少なさを北八ヶ岳や清里あたりで紛らわせているうちに、
季節は日々春めいてくる。

梅の花などは、まだまだ寒さがピークを迎える前から咲き出して春を誘う。
こうなると「春が待ちどおしい」などとよく言葉をよく耳にするのだけど、
最近僕はそう思うことが少なくなった。



 確かに長野に住んでいた頃は、春の声が聞こえ始めると、
それ杏だ、菜の花だ、桜だ、スミレだ、水芭蕉だなどと
ムラムラと欲情して身もだえしていたような気もするのだが、

最近ではむしろ「冬よ去るな」の心境である。
今年のような消化不良の冬だとなおさらだ。

 ILLさんからは各地の花情報が毎日届けられるし、
足元にはオオイヌフグリやホトケノザなど、春の草花がもうたくさん咲いていて、
世間はすっかり春なのだが、山を見上げながら、
「もっと降らないか・・・雪」
などとつぶやいている自分がいるのだ。



 逆に夏が去るときは結構秋が待ち遠しく、
北アルプスに早い秋を求めて取材したりするところから考えると、
どうやら僕は冬が好きなようなのだ。

もしかすると一番好きな季節なのかもしれない。
そういえば遠出をするときには北に向かうことが多く、
暖かい地方に出向くことは滅多に無い。

こんなことを書くと豪雪地域の方から、
「一度こっちに住んでみろ」
とお叱りを受けそうではある。



目次に戻る