「山旅倶楽部」で広がるアウトドアライフ
No.193 2003.7.1
秋田県 男鹿半島

男鹿 夏の珍味

男鹿 夏の珍味
[Exif位置情報 あり]

男鹿半島は。関東における三浦半島や伊豆半島のような存在ではないだろうか。手軽に出かけられ、家族で海水浴やキャンプ、温泉を楽しめ、海の幸が豊富、そして夕日が美しい

男鹿半島に来たのだからと、まずは漁師が経営している食堂に入った。そこでウニ丼と岩牡蠣を食べたのだが、正直なところ感動はわかなかった。地方の食事でよくあることなのだが、素材を巧く活かす料理の技が基本的に欠けているケースは多い。この店も例外ではなかった。日本海に夕日が没するのをうっとりと眺めた後、漁港の町北浦にある男鹿温泉に出かけた。男鹿温泉は男鹿半島の突端、入道崎から東側沿いに下ったところにあり、海岸線からは、日本海の先に白神山地も見える。この温泉街に変わったアナゴを食べさせる店「福の家」がある。どのように変わっているのか、それを確かめたくて「あなご定食」2000円を注文することにした。メニューを見ていると、夏場にしか味わえない「クロモ」という海草もお薦めだという。そこでリベンジの意味を兼ねて、岩牡蠣とクロモも頼むことにした

出てきたアナゴは普段見慣れているアナゴとは全く違った様相をしていた。ブツ切りにしたアナゴをタレにつけ、じっくりと焼き上げたものだが、身の真中に白く太い芯のようなものが見える。食べてみると、アナゴのじゅわ〜とした柔らかい身の味とは全く違って、まるで肉のモツを食べるような弾力性のある噛み味がする。マアナゴとはまるで違う食感だ。つまり普段寿司屋で食べるアナゴとは違う種類であることは間違いないだろう。主人に聞くと、このあたりではメクラウナギと呼んでいる深海魚で深さ約400mほどの磯場に棲み、このアナゴの生息場所を知っている漁師は2名しかいないのだそうだ。この話を聞いて、調理する前の生のアナゴの姿を見たわけではないが、おそらくホラアナゴの仲間ではないかと思った。ホラアナゴは北海道の根室や羅臼ではクロハモと呼ばれ「はも丼」として好評の名物料理となっている。マアナゴとは食感も味も違うが、旨いサカナであることは確かだ。珍味といえるだろう。ご主人に、このアナゴの調理方法の特長を尋ねたら、火が身全体に通り柔らかくなるまでに、かなりの時間を要するので、タレを焦がし過ぎず、風味を出し、かつ、柔らかくなるまで焼き上げるのにテクニックがいるのだそうだ

さて夏場だけ食べられる珍味、クロモと岩牡蠣が出てきた。まずは岩牡蠣を食べる。さきほど食べた岩牡蠣と違い、生臭さがなく、かつ、とてもジューシーな岩牡蠣だった。今まで食べた岩牡蠣の中でも、福の家の岩牡蠣はかなり旨い部類に入る。そしていよいよクロモだ。見た目はモズクだが、モズクよりは少し太く、粘りがあり、歯ごたえも良い。味付けは一般的なモズクとほぼ同じだ。これも旨い。調べてみると、クロモの正式名称はイシモズクだった。しかし同じ男鹿半島のクロモでも、取れる地域で呼び名も味も違うことも分かった。北浦のある半島東側の磯場で採れるクロモは下クロモ、西側の磯場で採れるものは上クロモと分かれている。下クロモの方が柔らかく、藻も長い。実際北浦漁港近くで採ったクロモを干し、選別作業をしている漁師さんに出会ったが、生のクロモは一見すると天草に見えた

テレビや雑誌などマスコミに頻繁に登場する男鹿半島の料理店に「美野幸」がある。「美野幸」は入道崎にあり、塩水に野菜と鯛を入れた秋田杉の桶の中に、焼いた石を入れ、一瞬の内に鍋料理にしてしまう「石焼き定食」が名物だ。こういう料理は見た目は実に美味そうに見える。パフォーマンス料理の真骨頂だろう。僕はメインの鯛よりも、定食に付いてきた漬物が気になった。見た目はスイカだ。食べてみると、瓜の仲間であることは分かった。とても旨い。そこで店の方に尋ねるとメロンだという。メロンの漬物は始めての経験だった。珍味だ。ここ男鹿半島はメロン栽培がおこなわれていて、路地でも販売している。現在「美野幸」では、このメロンの漬物は止めて、秋田名産の「いぶりがっこ」を出している。メロンの漬物は、あまりに作るのに手間がかかりすぎたのだそうだ..残念


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