「山旅倶楽部」で広がるアウトドアライフ
No.192 2003.6.28
秋田県 角館

稲庭うどん

稲庭うどん
[Exif位置情報 あり]

秋田といえば雄勝郡稲川町の稲庭うどんが著名だ。稲庭うどんは機械を使わない、全て人手による手作りの細めの乾麺で、コシとノドゴシの良い上品な食感が特長だ。以前テレビで稲庭うどんを作るドキュメンタリー番組を見たが、何度も何度も麺を細く伸ばして、きれいに刻み、出来上がるまで相当な手間を要する様は、手延べ素麺の工程とほぼ同じだと思った。稲川町は湯沢の隣、栗駒山から始まる皆瀬川沿いにあり、周辺の皆瀬村はまたソバの産地でもある。現在の稲庭うどんは、地元の材料だけでなく、北海道の小麦粉、赤穂の粗塩など、素材の産地は様々なようだ。全国ブランドとなったためか、「稲庭うどん」を名乗る、県外を含む他地区の粗悪品も多くなり、ブランド維持のため、稲川町の業者15社が稲庭うどん協議会を作り、「稲庭うどん認証マーク」を導入した。その後「稲庭うどん協同組合」を設立、新たに8社が加わり、材料の共同購入や品質の維持に努めている

なぜか角館では、稲庭うどんの乾麺そのものを販売している土産屋や、うどんを食べさせる店が多い。多数ある稲庭うどんメーカーの中でも、現在の稲庭うどんを作り出した稲庭干饂飩「七代佐藤養助」が最も著名だろう。直営店ではないが、僕は、角館の銘菓「なると餅」、渡辺なると餅店の女将さんお薦めの店、角館駅前の店「やまや」で「七代佐藤養助」の乾麺を使用した「冷たいいなにわ」ウドン800円を食べた。旅館も兼ねた店は、俳優の山谷初男さんの生家だとのこと。ツルツルとノドゴシもよく、すすすっとお腹の中に入っていく。旨い。1日の食事全てが米飯だと滅入ってしまうほど、僕は根っからの小麦粉好きだ。ほぼ毎日、自分で麺類を作り食べている。だから秋田で稲庭うどんを食べたいと、ずっと念願していた。「七代佐藤養助」の稲庭干饂飩の味は、とても洗練されている。上品なウドンだが、若干上品過ぎるようにも感じた。雑味がなくスッキリ感が強い。武家屋敷の「七代佐藤養助」を専門に扱う土産店で、一通りの種類の乾麺も購入してみた。稲庭うどんは手作りのため、価格は高い。約160〜180gの乾麺で500円ほどもする。ウドンの高級ブランドだけのことはある。ところで種類と価格の差はどこからくるのだろうか。例えば、お買い得の品は1本の麺を切る際に、端に近い断面がふぞろいな部分を集めたものだが、出来上がった味にさほど差はないと感じた。結局、価格の差は切った麺のサイズが、きれいに揃ったものが一番高く、バラツキの具合に応じて価格は安くなるようだ

「七代佐藤養助」以外の稲庭うどんも食べてみようと入ったのが、武家屋敷「青柳家」の中にある「延寿庵」だった。武家屋敷には稲庭うどんを扱っている店は多い。「延寿庵」自体は「稲庭手延製麺株式会社」が作る稲庭うどんのブランド名だが、この店では食事もできる。量と価格で比較すると、一番高い商品は、「七代佐藤養助」よりも実は少し高い。ままよと、メニューの中でも一番高かった「青柳家特製つけめん」2200円を頼んだ。内容は写真を見てもらえば分かるだろう。食べた感想を述べれば、洗練されているが、良い意味で雑味を残してあり、麺の味に奥行をつけている。もちろん、僕の好みはこちらだ。「七代佐藤養助」で感じた若干の不満を、延寿庵では満たされていた。食べ終え、乾麺を土産として購入する際に、女将さんに、販売している麺の種類の中で、僕が食べた「青柳家特製つけめん」に実際使用しているものはどれですかと、訪ねてみた。無体な質問だったが、女将さんは嫌な顔もせずに教えてくれた。それは一番高いものの次のランクの商品だった。一番高価なウドンは、やはり、切り口の揃ったもので、量はさほど作れず、店での需要には足りないのだそうだ。しかし、味は殆ど同じですよとも付け加えられた。自宅に戻り、一番高いもの、そして「青柳家特製つけめん」に使用したものを食べ比べてみたが、言われた通り、殆どその差は感じられなかった。最も、どちらも旨かったことには変わりはないが..ところで、武家屋敷「青柳家」の中にあるウドン店「延寿庵」だが、残念なことに僕が食べたすぐ後に店は閉じてしまった。現在「稲庭手延製麺株式会社」は乾麺の販売のみをおこなっていて、東京では三越、松坂屋、東急、京王の各デパートで入手できる。またインターネットでも直販しているのでhttp:// www.inaniwaudon.co.jp/こちらを利用するのもよいだろう


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