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国見温泉は岩手と秋田の県境にあり、秋田駒ヶ岳の登山口として知られている。とは言うものの、国道46号線から国見温泉への入り口は極めてわかりづらい。目印は「ドライブイン国見」。盛岡方面から向かうと、このドライブンの先から右折する山道に入る。入りそこねると、仙岩トンネルを経て田沢湖に出てしまう。渓谷を眺めながら山道を登ると、終点が国見温泉だ。森(もり)山荘と石塚旅館のたった2軒の温泉だが、この温泉の泉質は極めて良いと感じた。僕は森山荘の露天風呂に入ったのだが、まず湯の色が抹茶色の源泉で湯温は低め、1時間入ってものぼせることはない。小さな露天風呂だが、まさに眼前に広がる、開放感100パーセントのパノラマが気持ち良い。田沢湖の乳頭温泉「鶴の湯」よりもずっとずっと秘湯を感じる温泉だ。穴場中の穴場だろうなぁぁ
秋田駒ヶ岳への登山客は国見温泉で休憩するとよいだろう。温泉には無料の駐車場や公衆トイレもあるし、美味しい湧水も無料で手に入る。特に森山荘では食事もとれる。ここのお薦め料理は「ひっつみ鍋」。ひっつみ鍋は水団(すいとん)料理で岩手県の名物だ。地鶏にゴボウやシイタケで出汁をとっている。さっぱりしているが、スープの出汁はメチャ旨い。森山荘の「ひっつみ鍋」の特長は野菜の種類を多く使っていないことにある。野菜の種類を増やすと、どうしても味がぼけてしまい、狙いの味にならないのだそうだ。定食には、山菜小鉢ときのこおろしがついてくるのだが、これもまた旨い。きのこは地元で「ぼり」と呼ばれる塩蔵のナラタケ。もちろん天然モノだ。この「ひっつみ鍋」も仙岩トンネルを抜け、秋田側に入ると、なぜか全く見当たらなくなる。その代わりに「山の芋鍋」が名物となる。乳頭温泉「鶴の湯別館」で「山の芋鍋」は食べたけど、森山荘の「ひっつみ鍋」の旨さには到底敵わなかった。店構えも、運ばれた料理も、テレビ映りは良いのだが..
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