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八甲田山の麓にある酸ヶ湯は超有名な温泉旅館だが、観光名所にありがちな横柄な態度やサービスの欠如といった不満が全くないのが、この酸ヶ湯温泉だ。電話で問い合わせをしてもフロントの方の対応は、まるで帝国ホテルやオークラに問い合わせをしているかのごとく、親切丁寧である。慇懃無礼なところもまるでない。実際訪れてみると、フロントの方々だけでなく、売店、食堂など従業員の方々、皆親切だ。経営ポリシーが一貫している。総ヒバ造りのヒバ千人風呂は石鹸の泡立ちがおきないほど、リンス不要のスベスベ感たっぷりの泉質、酸性硫化水素泉。これが実に気持ち良い。酸ヶ湯の快適さはサービスのよさだけでなく、とにかく料金が全てリーズナブルなのだ。温泉の入浴料金も500円と格安。やはり300年の歴史を持つ名湯治場ゆえなのだろう、低料金で誰でも気軽に湯治できるシステムは見事だ。6畳間の場合、1名3日間単位で1万2千円(1日4000円)、2名だと合計1万8千円で済む。しかも旅館内には自炊できるように野菜から肉、雑貨まで販売されている。それでも高いという方には、酸ヶ湯野営場が温泉のすぐ傍にあり、キャンプができる。ここも酸ヶ湯温泉が管理している。僕の場合、近くの公衆トイレ付きの無料駐車場で車寝したので宿泊料はタダ。酸ヶ湯温泉で購入したおにぎりを夕食として快眠
酸ヶ湯の蕎麦
酸ヶ湯温泉には鬼面庵(おにめんあん) という蕎麦屋がある。立ち食い蕎麦だからといって、バカにしてはいけない。蕎麦は地元のそば粉を使用した蕎麦で、安くてすこぶるうまい。自社工場での機械打ちではあるが、毎日その日に使う分だけ打っている。また店内には「八甲田の清水」と呼ばれる湧水があり、無料で飲める。これもうまい。人気にあぐらをかくことなく、旅行者に快適なサービスを提供する酸ヶ湯温泉には、ただただ頭が下がる。正直なところ八幡平、後生掛温泉との差は歴然であると感じる
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