「山旅倶楽部」で広がるアウトドアライフ
No.172 2003.4.26
三重県 英虞湾

海苔畑

海苔畑
[Exif位置情報 あり]

尾鷲で夕食をとり、そのまま英虞湾を目指す。リアス式海岸の走りの辛さを味わったばかりなのに、再度真夜中のリアス式海岸を走った。紀勢町に入ると道は山の中に向かう。真っ暗闇の細い山道はヘッドライトが照らす視界だけが頼り。ライトに驚いたのか、前方左斜面からキジが飛び立った。しばらく走ると今度はタヌキが横切る。出会う車は1台もない。このような閑散とした山間のドライブに、突然視界に飛び込む「原発反対」の看板、看板、看板。なんでこんなところに原発??と思ったら、ここは芦浜原発計画の近くだったのだ。夜も明けた頃、やっと南勢町にたどり着き、海が見えた。静かな海だ。英虞湾まではもうすぐと、自分に言い聞かせ先を急ぐ

写真は浜島町で出会った光景だ。浜島は真珠、牡蠣、そして海苔の養殖の町。プールのように静かな海面に竹杭がキュウリやトマト栽培の支柱のように突き出している。海苔の畑だ。1960年代までは東京湾でも、この竹杭の風景は普通に見られ、船橋ヘルスセンター、谷津遊園など、船橋から幕張にかけては海水浴場、潮干狩りのできる東京の娯楽地だったのだ。今でも船橋ヘルスセンターの賑わいと、海岸の潮の香りを記憶している。あれから僅か40年で東京湾の様相は一変した。未来の都市空間として登場した、幕張の埋立地に立つ高層ビルからは元気の風を感じられない。東京再開発の余波をまともに受け、企業の流失が加速しているからだ。いわんや開発途中の埋め立て地は、彼等自身の未来を描ききれずにいる。品川と幕張、この僅かな距離でさえこの有り様だ。アクアラインが不採算なのは当然だろう。海の資源は無限ではない。ここ数年、倒産情報をワッチしていても、土木関連に続いて、漁業、水産業の倒産が極めて目立つ。地球規模での海洋資源の枯渇が確実に始まっている。頼みの綱の養殖も餌となるイワシ達の不漁が深刻な問題になるだろう。いや、それだからか、効率的な生産のために某県で発覚したホルマリンの投与など、非合法、合法を含めて、薬剤の投与が減ることはない。抗生物質など、薬による海洋汚染は、農薬や化学肥料と同様に貴重な畑を、自分達の手で確実に死へと導いている。一度失った信用と自然を取り戻すには気の遠くなるほどの時間がかかる。アコヤ貝の嘆願が聞こえてくるようだ


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