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最初に那智滝を訪れたのは、高校の修学旅行だった。碁の黒石である那智黒が印象深かったが、那智黒石は、実は那智勝浦の産ではなく、三重県熊野市神川町神上(かみかわちょう こうのうえ)が名産地であることを知ったのは、ずっと後のことだった。那智の滝は落差133m。栃木日光華厳の滝、茨城袋田の滝とならぶ日本三大瀑布の1つ。いずれの滝も訪れているが、これらが何故に三大瀑布なのか、その理由が浮かばない。落差が基準であれば、立山の称名滝は350mで日本一だし、三大瀑布よりも落差のある滝は他にも存在する。いったい誰がどのような基準で決めたのだろうか
熊野那智大社に向かう葛折りの道すがらでは桜が満開だった。桜の向こう、山の中腹に那智大滝が見える。ここからは見えないが、「一の滝」である大滝の周辺、那智山原始林には「二の滝」「三の滝」をはじめとして沢山の滝があり、那智四十八滝と呼ばれる所以である。懐かしい土産店の立ち並ぶ473の石段を上り、熊野那智大社にて参拝した後、大滝に出る。熊野本宮に充満している「気」が、なぜか熊野那智大社では全く感じられない。熊野本宮内での撮影は一切禁止だが、熊野那智大社境内ではそのような制限はない。さすがに人々の雑念が多すぎて、神の声も届きづらいようだ。滝の上方、落ち口にあたる銚子口には、注連縄が張られている。この注連縄は毎年7月9日と12月27日の年2回、命がけでの張り替えがおこなわれる。写真に微かではあるが、写っているのが分かるだろうか
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