「山旅倶楽部」で広がるアウトドアライフ
No.20 2002.6.18
食品

上品で、魚の旨さが伝わる 志岐の天ぷら

上品で、魚の旨さが伝わる 志岐の天ぷら




東京で「天ぷら」というと、天婦羅のことを思い浮かべる人が多いと思う。しかし関西より西では、「天ぷら」は、さつま揚げのように、魚のすり身を揚げたものを指すことが多い。中国や九州の立ち食いで「天ぷらうどん」と頼むと、この揚げ物が入った、うどんが出てくる。これって、大阪で「たぬきそば」というと、油揚げの入った日本蕎麦を指すのに似ていると思う

僕は、旅の土産として、あれば、できるだけ購入するものの中に、練物食品がある。肉だとソーセージ、魚だと蒲鉾の類だろうか。特に「天ぷら」は大好きなものの1つだ。四国は愛媛のジャコ天、鹿児島のさつま揚げ、天ぷらではないが、静岡のいわしはんぺん、など、日持ちもある程度期待できることもあり、冷蔵庫に入れて持ち帰ることが多い


志岐蒲鉾本店は福岡にある蒲鉾メーカーだ

大手蒲鉾メーカーの年間売上高を調べてみると(99年〜2001年までの平均)
紀文食品700億 鈴廣かまぼこ76億 佃権20億 宇部蒲鉾20億 志岐蒲鉾9億

ちなみに、僕の好みの蒲鉾の順は、上記と正反対。つまり売上高が大きいメーカーになるほど、見事なまでに、好みから遠ざかっていくという事実に唖然とした

志岐蒲鉾本店には、志岐シズエさんという細工蒲鉾の名人がいる

菓子で絵を作るのはポピュラーだが、彼女は蒲鉾で浮世絵を作ってしまうのだ。
「すり出し」という手法で描く、蒲鉾の浮世絵は、それは見事である
http:// www.interq.or.jp/ japan/ kamaboko/ waza_saiku.html


志岐の天ぷらは、エソ、グチを主原料としている

エソはキスに似た魚で、マエソは釣魚として知られている。グチは正式な魚名ではなく、ニベが正式名称。関東ではイシモチとして一般的に知られている。どちらも白身で蒲鉾の原材料として珍重されている。グチという言い方が、関西よりも西で使われることが多いことから見ても、また僕の体験的なことからも、瀬戸内海や豊後水道など、関西から九州にかけては、上質の近海魚が豊富に捕れる。それ故に旨い蒲鉾が多い。正直なところ、東北で、これはという、旨い蒲鉾には、残念ながら出会っていない。気候も温暖な西日本では、捕った魚をすぐに加工、保存しなくてはならなかったのではないだろうか。だから蒲鉾の技術が発達したと考えるのは、考えすぎだろうか


本物のおいしさを最高の素材と伝統の技で求め続けお客様の感動を創造します

志岐蒲鉾本店のポリシーだそうだ。大正9年、志岐信次さんが開業した、この蒲鉾メーカーは、福岡の方達には、馴染みの蒲鉾屋さんだ。年商9億ともなると、原材料も全国各地から集めてこないと、商品はできないと思われるが、品質は十分満足できるもので、僕は気に入っている。スーパーで見かける大手メーカーのもののように、魚の味や噛みごたえが殆ど感じられず、澱粉の練物を食べさせられているような、悲しさは全くなく、噛みごたえもソフトでありながら、魚の旨さと甘味が、じわ〜と口の中に広がる。生で食べても、焼いても、ヒジキと一緒に炒めてもよい

鹿児島までいくと、味付けが、かなり砂糖甘くなってしまうので、僕としては、日本海にも面している、福岡の「天ぷら」が、関東の人達にも違和感無く受け入られるギリギリではないかと思う。鹿児島の町で、手作り「さつま揚げ」を食べたら、大抵の方は、東京のスーパーや食堂で食べる「さつま揚げ」との違いに驚かれると思う。東京で販売されている「さつま揚げ」は、関東人に合うよう、味付けはかなり修正されているのだ


志岐 天ぷら 購入価格 299円 180g 3枚入
原材料
エソ グチ タラ でんぶん 砂糖
卵白 食塩 みりん 調味料(アミノ酸等)
でんぷん含有率 3%
合成保存料・合成殺菌料無添加

株式会社志岐蒲鉾本店
福岡県大川市大字榎津631番地
TEL 0944-88-3168

目次に戻る

 

 

インターリミテッドロジック 山と自然の旅   リンクバナーとしてお使いください
当サイトへのリンクはご自由にどうぞ
「山と自然の旅」ホームページの著作権は株式会社インターリミテッドロジックにあります。無断掲載・転載・複製はご遠慮ください。    illlogo.gif (545 バイト)